様々な作品への出演が続き、若手実力派俳優の中でもひときわ注目されている倉悠貴さん。
2024年4月期のNHK連続テレビ小説「あんぱん」では、ヒロインののぶ(今田美桜)が働く新聞社の先輩記者・岩清水信司を演じて話題を集めました。
他にどんな作品に出ているのか、気になりますよね。
この記事では倉悠貴の演技力が特に分かる作品3選をご紹介したいと思います。
「六人の嘘つきな大学生」(2024年 映画)
あらすじ
ある有名企業の新卒採用試験に、6人の学生が生き残っていた。
最終選考となる1ヶ月後のグループディスカッションでは全員が合格になる可能性もあると聞き、6人は協力して対策と準備を重ね、親睦を深めていく。
しかし後になって、会社から変更が告げられ合格者は1名しか出さないことになり、
しかも誰を合格にするかは自分たちで決めなければならなくなった。
選考当日、会議室で6人が合格者を決める投票を進める中で、謎の封筒が6通発見される。
中身はここにいるメンバーの過去の過ちや悪事が暴露される内容の文書だった。
封筒が開かれるたびに一人また一人と信頼を失い、採用レースから脱落していく。
互いを非難し合い、疑心暗鬼に支配される選考会場ーー。
最後に誰が採用となるのか、そしてこの暴露文書を用意した人物の目的とは?
倉悠貴が演じるのは、地味な秀才

倉悠貴は、一橋大学に通い公認会計士の資格を持つ秀才・森久保公彦を演じています。
眼鏡をかけて地味な感じで、倉悠貴の他の作品ではあまりない役柄かもしれません。
大学生6人での最終選考中、「暴露文書を用意したのはお前だ」と犯人の容疑をかけられ、他の5人から責め寄られる場面がありますが、驚き狼狽しながら自らの潔白を訴える様子には、倉の演技力の高さを感じます。
この森久保を怪しく見せるのは製作側のミスリードのような気もしますが、果たして真相はーー?
「生き残った6人によると」(2022年 TBS系ドラマ)
あらすじ
成田空港から広がった謎のパンデミックによって、街はゾンビだらけになってしまった。
高校2年の水上梨々(桜田ひより)が逃げ込んだのは、とあるショッピングモール。
ここでは、美人でモテる村濱雫(中村ゆりか)や、カリスマCEOでリーダー的存在のれんれん(佐野玲於/GENERATIONS)、マッチョで自分大好きな平坂亮(大貫勇輔)…といった個性的な人たちがシェアハウスのように気ままに暮らしていた。
彼らが夢中になっているのはーー「恋」をすること。
ゾンビに取り囲まれていつ死ぬか分からない、だからこそ誰かと恋をしたい。
極限状態の中で、誰が生き残り、そして誰と誰がくっつくのか? 彼らの恋の矢印は日夜、入り乱れる。
新しいテイストのラブコメディ。

倉悠貴が演じるのは、寡黙なフリーター
倉悠貴は、ショッピングモールで避難生活を送っている中の一人、入江神(いりえじん)というフリーターの役で、モール内では掃除係を担当しています。
皆とは距離をとっていて口数も少ないが、YouTuberで明るい性格のビースト(髙石あかり)に密かな想いを寄せる。
仲間たちのお膳立てをうけてビーストを豪華なディナーに誘い、高級なタキシードをまとい用意されたセリフで口説く。
マニュアル通りのデートに、果たしてビーストの心はなびくのか…?
入江は割と普通っぽいキャラクターですが、恋愛的に男子として成長する様を倉悠貴がうまく演じています。
「衝動」(2021年)
あらすじ
ハチ(倉悠貴)は違法ドラッグの運び屋のバイトをしており、住所もなくネットカフェに寝泊りする日々。
人生に対する希望もなく投げやりで生きており、クソみたいな人生の、そのおまけだと思っている。
その影には、慕っていた兄が殺人の罪で服役しているという背景もあった。
そんな中、ハチはふとしたきっかけでアイ(見上愛)という少女に出逢う。
彼女はあるトラウマから声を出すことができず、筆談で人とコミュニケーションをとる。
アイもまた売春で生計を立てており、ハチと似た孤独を背負っていた。
「何処にも行くところなんか無い」、同じような虚無感を抱えた二人は互いに大切な存在となっていく。
ハチはこの現状から抜け出しアイと生きていこうと、ドラッグの元締めのアジトから薬を盗んで売ろうとするのだが……。
倉悠貴が演じるのは、行くところのない青年
若い頃に誰もが多かれ少なかれ経験する、行き場のない感情やモヤモヤした衝動、それを爆発させた作品です。
全体的にハードな世界観の中で、ハチとアイが二人で話しているシーンが好きでした。話すといってもアイは声が出ないので、ハチの問いかけに対して都度、手帳に書きそれをやぶって渡します。そのやりとりが何だか微笑ましく感じられました。
ただハチのセリフに説明的なところが多く、やや冗長に思えました。(アイが話せないという設定上、それを補う必要はあったのかもしれませんが。)
また終盤のラブホテルでのシーンでかなり暴力的・性暴力的な描写があります。
役者陣の演技は、とても良いものだったと思います。
倉悠貴は、自身の置かれた境遇に対するどうしようもない苛立ち、閉塞的なやり切れなさを、薄っぺらくなることなくリアルに表現しています。
見上愛も、声が出せないという難役ながら、表情や彼女自身のミステリアスな雰囲気がうまくアイというキャラクターにハマっていたと思います。
また、川郷司駿平がハチの兄役なのですが、拘置所の面会室で彼が罪を独白するシーンで、その演技力と、色白で端正な顔立ちも相まって非常に恐ろしく感じられました。
他にもネットカフェで他愛のない会話をする関係の山本月乃など、今後さらに活躍するであろう若手俳優の実力を堪能できる作品だと思います。